2008年6月11日水曜日

健康余話「いい加減を見つける」

      みんなと一緒
  昨今は、健康に気を使っている方々が多く、中高年に入ると急に増えると言われています。健康的に生きるのは良いとしても、人間ドックだ、健康診断だ、サプリメントだと目の色を変えるのはいかがなものでしょうか?私たち日本人は、「みんなと一緒」の事をしたがる傾向が強く、“沈没する豪華客船”をめぐるこんなジョークがあります。

船長が大声で「救命ボートの定員には限りがあり、女性と子ども以外は船に残ってください。お願いします!」と言った。その際に、相手を見て個別にこのように説得した。ーーー米国人には「あなたは英雄になれる」/英国人には「残れば紳士です」/イタリア人には「女性にもてます」/日本人には何と言ったのだろうか?―――「みんな残りますよ!」
 まさにわれわれ日本人の特性を鋭く突いて、思わず苦笑せずにはおられません。「みんなサプリメントを使っています!」に振り回されないようにしたいものです。

         フィンランド症候群
  「フィンランド症候群」と言う言葉をご存じですか?(数年前に朝日新聞に掲載)フィンランドの保険局が、血圧やコレステロールの高い40-45歳の管理職の男性1200人を半分づつ、健康管理するグループと管理しないグループとに分け追跡調査を行った。健康管理するグループには、当初5年間は降圧剤などの治療を施し、その後は年1回の検査を勧めた。残りの人には、目的も知らせず、健康調査票に記入してもらう程度で、特に何も求めなかった。15年後に出た結果は以下の通りです。

  治療を施し健康を管理したグループは、血圧やコレステロール値は下がったが、15年間の死亡者総数で見ると、なぜか非治療群の健康管理しなかったグループより多かったのです。予想を覆す結果でしたが、健康に気を使っていた人よりも、健康に気を使わなかった人たちのほうが、病気もしない死亡率も低いという結論ではありません。東京慈恵医大・健康医学Yセンター長は「私たちの研究でも摂生し過ぎると血圧があがるという結果が出ましたが、大切なのは程良く気をつけることです。摂生しない方が健康に良いとはいえません」と言っておられます。健康管理をやりすぎる、がんばりすぎるのではなく、程良く気をつけることのようです。

      いい加減を見つける
  知人のYさん、彼はすでに70歳台の半ばですが、色々とお話をする中で何事も“やり過ぎない、がんばりすぎない”ことをお話してくださいます。当初は、「そうだろうな!」と思いつつも実行までには至りませんでした。ところが、私も60歳台の半ばになり、どうも疲れることや一時ダウンすることが時々あり、彼の言葉がだんだんに身に沁みてきました。お会いして近況をお話しすると「それは、やりすぎですよ!」と言われます。

  ですから、仕事も半分に減らし、とにかくやり過ぎないようにと心がけるようになりました。神様の恵みで、入院生活も大きな病気も無く過ごしてきましたが、60歳頃から、少しずつガタがきました。一時は、健康のために色々とやらねばと精を出しましたが、最近「少しガタが来るのは、気をつけるからいいイイではないか!ガタと仲良しになっていこう」と「いい加減にいこう」という気になりました。“いい加減”と言うと否定的な意味で使われますが、「お風呂、ちょうどいい加減だよ!」のように「ほどよい」「ちょうどよい」状態のときに使われ、「いいあんばい(塩梅)」とも言います。加減するとは、足したり引いたりすることで、“いい加減”は、ちょうど良いバランスです。この“いい加減”のニュアンスが、発音によってはどうでも良い加減に、そして発音によってはいい塩梅(あんばい)になる微妙な日本語がまた面白いですね。

  “いい加減に!無理をせず、がんばり過ぎないこと”これは、中高年ばかりでなく、若い時代の私にも聞かせたかったことです。

2008年6月10日    小坂圭吾