2008年11月26日水曜日

感謝 「物を使い込む(2)」

5年の会堂建設プロジェクト
この会堂建設プロジェクトは、大変なことですが恵みも多く、ほぼ5年がかりの建設でした。千人会堂の姿をイメージしながら土地探し、建物がない更地を2年余探しました。東京都心の不動産屋には、ほとんど知られることになりましたが、千人会堂を建てられる土地は簡単には見つかりません。更地中心で中古の建物を探すことはあまり考えていません。そんな中で、練馬区に文明堂カステラ工場が建物付きで売りに出ていることを知り、早速現場を見に行きました。7階建ての建物、ガランとした空き家の工場を歩きながら、「これがどこまできれいにリニューアル出来るのかな?」と頭をよぎります。私が勤めていた会社の建設関係の責任者Kさん、そして大手設計事務所Gさんに調査をお願いしたら「これは素晴らしい物件、見違えるような教会にリニューアル出来る!」との話でした。2年余り探す間にバブルがはじけて、価格交渉においても、主の御手が差し伸べられていました。
         
      柱と壁だけを残しての大リニューアル 千人会堂建設のためには、まず海外の教会を見学することを計画し、韓国、アメリカそして国内とそれぞれ10数箇所ずつ教会を訪問しました。その訪問で一番感謝なことは、特にお願いしなくともその会堂建設で失敗したところを包み隠さず教えて下さったことです。「この失敗だけは、しないで下さい!」この言葉が今も記憶に残っています。見学を通して、会堂建設の取り組み姿勢や設計のヒントをたくさん頂きました。リニューアルという点では、アメリカ・ロスアンゼルスの教会を忘れることが出来ません。礼拝堂に入ると、頭の上には空調のダクト等のパイプが天井を這っています。何と倉庫を大リニューアルして作った教会で、きれいに仕上げてあるので何の違和感もありません。このようなリニューアルもあるのだと教えられました。
工場を教会にリニューアルというのは、柱と壁だけを残して後はすべて剥ぎ取り、新しくリニューアルです。工事の難しさは、日本でも前例のない「工場を多くの人が出入りする教会堂に改築する」という点です。教会らしくするには、玄関や窓、外壁を作り直し、レイアウトは大幅に違います。建物の形は変えてはいけない、すなわち増築不可という厳しい制約の中での改修工事です。技術陣の方々も知恵を絞ってやってくださり、色々な問題を乗り越えてきました。工事の段階で、建設責任者の方々が、異口同音に言われた言葉があります。「不思議なことが色々と起きる。難しいことの解決は、いわば、自動ドアを踏むとドアがスーと開くように不思議と道が開かれ、解決されていく。」これこそ、背後にあって神様がすべてを支配され、導いておられた何よりの証左です。
       
    大切なものを残して
 高田馬場教会(旧会堂)を取り壊すときに、建設関係の方々が「旧会堂の十字架の塔を、取り壊すのはもったいない。使い道を考えませんか?」と提案してくださり、7階の屋上に設置してもらうことにしました。夜には、ライトアップし遠くからも十字架が見えるようにしたのです。これは、旧会堂からの歴史の継承でもあります。この様にして完成した聖書キリスト教会・東京教会は、当時としては画期的なリニューアルで、BELCA賞という日本でも栄誉ある賞を頂くこととなりました。この意味は、優れた改修・復元を実施した既存の建築物のうち、特に優秀なものの関係者が表彰されたのです。まったく用途の異なる建築物に改修したことは、審査員の方々の驚きでした。私たちとしては、古いものを復元し教会として十分な働きが出来る建物になったことは、何よりの喜びです。このリニューアルした建物、教会堂は、いまや地域においては“世の光としての働き”をしてくれます。その地域において教会としての諸活動があればこそですが、新しい役割に復元した建物が、歴史を背負いつつ“復活の主”を証ししてくれます。今後、50年いやもっと使い込むことが出来ることでしょう。物を大切にする、使い込むと何がいいのでしょうか?使い込めば愛着が出るといわれますが、何かホットした気持ち、落ち着くのは確かです。何か心が豊かになります。豊かさは、物ではかるのではなく心の豊かさではかるということに気づかされます。

「わたしがこの世にいる間、わたしは世の光としての働きをします。」 (ヨハネ 9:5 現代訳)

2008年11月26日    小坂圭吾