
当時の世界的ベストセラー「武士道(Bushido)」
英語で書かれたこの本は、世界の各国で翻訳され世界的なベストセラーとなりました。新渡戸稲造の『武士道』は、圧倒的な熱情と祖国愛とキリスト教に対する確信がつらぬかれて、読む者を高揚させてくれます。第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトが読んで感動し、友人に配るばかりか日本びいきになったといわれます。これほどに用いられた本「武士道」は、決して古めかし道徳でもなく、封建制度の因習を書いているのでもない。そこにある生き方は、人間としての普遍的な生き方・倫理観を内包した題材が多く見られます。現代の日本人がある意味で失いつつある「日本の精神」を格調高く描きあげているのです。武士道の基本的な精神は、「義」を中心におき「仁」を心とし「礼」を型として表す「勇猛果敢なフェアープレイ精神」としています。このほかにも、勇(勇気と忍耐)、誠(武士道に二言がない)、名誉(命以上に大切な価値)、忠義(何のために生きるか)、克己(自分に克つ)等が説明されています。これらを読むと、私たち日本人のバックボーンにある精神、その素晴らしいものを思い起こさせてくれるのです。
日本人のバックボーン

私は、このブログを書きながら、岡山市丸の内中学校のN校長先生の教えを思い出しました。全校生徒千5百人くらいの中学ですが、週1回か月に1回か忘れましたが、全校生徒が校庭に集められ、N校長先生のお話があります。必ずと言って良いほどに「勉学、品位、耐乏」の言葉を色々と噛み砕いて、話をされたように思います。しっかり勉強をする、勤勉であること、品位については正義とか礼儀、勇気、優しさ、親切等について語られたように思います。そして、何事も耐え忍ぶようにと、今にして思えば、道徳教育の時間だったように思います。今でも「勉学、品位、耐乏」の言葉を忘れることはなく、この話を思い起こせば、武士道の精神が背後にあったのだなと感じます。また、私が小学校3、4年生だったとき担当してくださったN先生、とても気骨のある優しい男の先生で、今思うに「サムライ」というニックネームが似合う立派な先生でした。この先生からも、武士道に通じる日本人のバックボーンにある精神を教えられたように思います。小学校、中学校ともほんとに素晴らしい先生方に教えられたなという実感と感謝がわきあがります。
武士道は、「いまにも消えそうな灯心」かもしれません。しかし、日本人の心に焼きついた武士道の徳目ともいうべきものは、消えるものではありません。その精神は、日本人である限り残り続けるでしょう。ぜひとも残って欲しいと強く願うものです。それは、普遍的な生き方・倫理観を内包したものだからです。そして、武士道の精神は、キリスト教の精神と相通じるものがあり、聖書の言葉にもこんな言葉があります。
「草は枯れ、花はしぼむ。しかし、主の言葉は、とこしえに残る。」 (イザヤ 40:8 現代訳)
2008年10月27日 小坂圭吾