2017年4月15日土曜日

祈り「東日本大震災から6年~風化させない」



奈良・東大寺
人災は避けられる 

 20113月の東日本大震災から早6年、東京オリンピックが話題になればなるほど、大震災のことは忘れてはいけないと筆を執ることにしました。この10年間に起きた世界中の地震の2割は、日本で起きているそうです。

東日本大震災による津波の被害ですが、三陸沿岸はリアス式海岸で、津波襲来の常習地です。明治および昭和の津波での教訓から、高台移転や様々な津波対策を立てた地域にもかかわらず、宮城、岩手県の地区のうち7割が、平成の東日本大震災で大きな被害にあっています。

「此処より下に、家を建てるな」との先人の残した石碑の教訓が生かされた所もありますが、いつの日か風化されてきたのです。 災害の悲惨な記憶がしだいに薄れ、不便な高台から離れる人々や津波の恐怖を知らない移住者の方々が、低地に家を建てるのです。“天災は避けられないが、人災は避けられる”との言葉が、迫ってきます。

福島原発の事故

多くの人々の故郷を奪った事故の最大は、東京電力・福島第一原子力発電所事故です。国際原子力機関(IAEA) の調査団は、20116月に査察の結果を提出し「事故の要因は、高さ14 メートルを超える津波によって、非常用電源を喪失したことである。日本の原発は、津波災害を過小評価していた。日本の原子力発電所は、安全対策の多重性確保を行って、あらゆる自然災害のリスクに適切な防御策を講じるべきだ。」と述べています。

原発事故による避難者は、ピーク時は16万人強でその半分8万人を割る人々が、今なお避難生活を余儀なくされています。除染が行われ避難解除が実施されているとはいえ、すでに6年間も放置されたところは、その惨状があまりにも悲惨というべきでしょうか。原発事故の厳しさについて、考えさせられます。

6年余の日本は、原子力発電に頼ることなく、色々と無理をしながらも電力の安定供給を行うことができました。原発の再開をしなくとも、日本は困らない状況ではないかと考えたくなり、福島原発の事故を見ると、リスクがはるかに大きいので安全性を重視したくなります。

日本全体のエネルギー調達については、➀コスト ②供給の安全保障 ③地球温暖化  ④安全性 の4要素を最も満足させるようにエネルギーの種別、地域を分散したエネルギー政策を立案しているとのことです。大雑把に言えば、電力安定供給を重要視し、長期的には再生可能エネルギーを増やす方向に進んでいると考えれば良いでしょうか。昨年、我が家も長期的に考え国全体に役立つことだろうと、“太陽光発電”を設置しました。

今何ができるだろうか?

この1か月間ほど、NHKでは復興の様子を様々に取り上げていました。津波で大損壊を受けた地域の復興、原発事故の復興は、まさに始まったばかりというところ。今もなお多くの方々が、避難生活を余儀なくされている現実は、厳しいものを感じます。

私たちは、今何ができるのでしょうか。手軽にできることは、被災地の産物を買うことです。特に、福島、宮城、岩手産の産物を少しでも意識して買っていくことです。

第2は、現地訪問です。観光旅行でもいいですし、とにかく現地に行って楽しんで、復興状況を知ることです。百聞は一見に如かず。その場所でお金を使うことが、小さいけれども出来ることです

最後に、日本列島を襲う大地震は、今後もあることは疑う余地もなく、予想さえも出来ないことが起こりえます。二度と原発事故が起きないことを願います。この事故を通して、現在、原発施設の近くに住んでおられる方々には、迷惑施設を押し付けているのだという自覚と、私たちの担うべき原発リスクを負ってもらっていることを忘れてはならないと思います。

風化させないための努力として、語り継ぐとかはその一つですが、今年また“語り部ガイドツアー”に参加し、復興の状況をまじかに感じ見て来たいと考えています。

2017年4月15日 小坂圭吾