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ワシントン・リンカーン記念館 |
アメリカ大統領就任式
これまで色々な人々の生涯について、学んできました。聖書に登場する人々はさておいて、その伝記をしっかり読んだ人と言えば、アメリカ・リンカーン大統領です。
かなり前になりますが、アメリカで歴史上最も尊敬できる人物について世論調査をしたところ、1位はイエス・キリスト、2位はリンカーンだったとのこと、リンカーンがどれほどアメリカ人や世界の人々から愛と尊敬を受けているかを実感させてくれるものです。
オバマ大統領も、尊敬する大統領としてリンカーンをあげています。私たち日本人にとって、リンカーンといえば、奴隷解放と南北戦争を勝利した大統領という程度の知識かもしれません。リンカーン聖書
アメリカ大統領就任式では、大統領が自分の好きな聖書箇所を選び、就任の宣誓をして、聖書に口づけをして神様のことばに対する畏敬の念を表します。リンカーン大統領が特に好み、選んだ聖書箇所は、次の御言葉でした。
「さばいてはいけません。さばかれないためです。」(マタイ7:1)
リンカーンの生涯
今から40数年前に初めてアメリカに出張した時、ワシントンを訪問し、国会議事堂、ホワイトハウス、大統領が日曜礼拝に行く教会そしてリンカーン記念館を訪ねました。
そこにあるリンカーンの座像~建物の入り口中央に置かれている巨大な石像で、両腕をひじ掛の上に乗せて、厳粛な雰囲気をかもしだしています。リンカーン像
周囲を散策しながら、これほどまで巨大な建物の記念館を作ったのには、アメリカにとって偉大な尊敬する人物だからであろうと推察しました。
その後、「ホワイトハウスを祈りの家にした大統領リンカーン」(ジョン・クアアン著、小牧者出版)を読み、リンカーンがどれほど信仰の人であったかを知り、大きなチャレンジを与えられました。
リンカーンの生涯についてですが、彼のお母さんが素晴らしいクリスチャンで、彼に「信仰」と「夢」を植え付けたのです。
「神さまのみことば通り生きなさい」とモーセの十戒が心の奥深くに焼きつき、その通りに正直に生きる原動力になりました。彼が9歳の時に母がこの世を去りますが、次の新しい母も素晴らしいクリスチャンです。
彼女は、リンカーンに良く聖書の話を聞かせて信仰の目が養われ、読書の習慣を育ててくれ、まれに見る「本の虫」と呼ばれ独学で勉強をしました。
学校らしい学校教育を受けていませんが、読書に専念し、よい文章があればメモを取り、繰り返して読んで自分のものとしました。彼は、毎年自分の身長ほどの本を読むことを目標にしたとのことです。
さばいてはいけない
リンカーンは、幼少時代からひどいいたずらっこで、周囲の人々をたびたび困らせました。悪い習慣は、弁護士時代にも表れ、彼が不満に思う若手政治家を非難しまくって、相手を大憤慨させ命がけの決闘を申し込まれ、命を失う危機に立たされました。
ミシシッピ川の川辺で決闘となり、決闘直前に友人たちの仲裁により、彼の謝罪を受け入れ、血を見る決闘にはなりませんでした。
この出来事が引き金となって、今後他の人を批判する、悪く言うことをしないとリンカーンは決心したのです。そして、マタイ7章1節のみことばを、生涯心に刻んだのです。
リンカーンの生涯を貫き通していることは、聖書を読み、祈り、聖書の言葉に生き抜いたことです。彼も罪びとであり多くの過ちを犯しました。
あるいは、犯しかけながらも留まりました。犯した過ちについては、それが聖書の言葉に照らした時に、もう2度とやらないと心に焼き付け、犯しそうになった時に冷静に踏みとどまって、神の心にかなうような行動に自分を仕向けたのでした。
特に「さばいてはいけない」「自分の敵を愛せよ」のことばを実行したのです。
愛、受け入れ、赦し
この聖書のことば「さばいてはいけない」は、私も失敗の数々があったなと思い起こします。若い頃の振り返りをしてみますと、赤面の至りです。長く人生を歩んできて、感謝なことが沢山出てきますが、失敗も多かったなと思います。
若い頃のいつでしょうか、とかくさばきになってしまう自分があったなと!?今では”さばきの思い”が出てくる前に、”愛、受け入れ、赦し”が出てきて、ともかく受け入れようと思うのです。
いつ頃からそのようになったかは、定かではありません。すぐに心の中で人をさばいたり、悪く思ったりすることは誰でもあります。批判する、悪く言うことはいとも簡単に行なってしまいます。
人をほめ建てあげることがいかに少なく、度量の狭い人間であるかを思い起こすのです。「愛、受け入れ・赦し」の実践しかないと心に刻んでいます。
「人を裁いてはいけません。人を裁けば、神様から裁かれます。」(マタイ7:1 現代訳)
2025年5月30日 小坂圭吾