2022年12月16日金曜日

今を生きる「『現代訳聖書(改訂新版)』を読む」

 


悪魔のバーゲンセール

今年もクリスマスシーズンになり、街のあちこちでは、クリスマス・バーゲンセールが行われていますが、こんなお話があります。

ある時、悪魔が現役引退(?)の決意をし、それまで使い古した商売道具を“タタキ売り”に出すことにしました。タタキ売りの現場には、悪意や憎悪、嫉妬、羨望、強欲、好色、欺瞞など魅力あふれる品物が陳列されています。

ところがその横に何の変哲もない道具があり、よく見ると他の道具よりはるかに使い込まれた跡があり、誰かが質問をしました。

「これはいったい何ですか?随分高い値札がついていますけど――」          それは“失望・落胆”だよ」悪魔は答えました。                           「でも、そんなものが他の道具より高価だというのは、どういうわけですか?」見物人がしつこく尋ねると、悪魔はそのわけを説明してくれました。

「それはじゃな。他の道具じゃとても歯が立たん時でも、これを使えば人間の心を簡単にこじ開け、その心の中に入ること出来る特別の道具なんじゃ。いったん“失望・落胆”が入り込めば、あとは他の道具を使って思いのままに仕事ができるという具合じゃ。どうだい買うかい?」

悪魔は私たちを失望・落胆させようと、色々な問題を引き起こし、私たちを苦しめようとします。しかし、このような苦しみや試練は喜びとセットであると聖書は教えています。

言葉を変えれば、マイナスは必ずプラスになるということです。聖書を読み、聖書から教えられ続けていると、マイナスはプラスに変わると信じて歩む力が与えられるのです。

なぜ聖書を読むの?

聖書を読むとは言うものの、なんといっても聖書は古い本で、いわゆる“古典”に属する書物ですので、チョット読んだだけではわかりにくいものです。普通の本ですと、その書籍がどういう目的で書かれたかが最初に記されていますが、聖書にはそれがありません。

それでは聖書の書かれた目的はなんでしょうか。それは私たちの救いです。聖書は生ける神のみことばであり、「イエス・キリストによる救い」を教えている本です。それは私たちの成長を促す霊の食物なのです。

この数年、私たち夫婦はほぼ毎日のように家庭礼拝を続けてきました。カナダ・バンクーバーに10日間ほど旅行した際、『リビングライフ』というディボーションテキストを用いてホテルで朝の家庭礼拝をしたのがきっかけでした。

それ以前にも週に一度くらいは家庭礼拝をしていましたが、優先的に家庭礼拝をするようになって、非常に多くの恵み・祝福を経験するようになりました。

個人のディボーション以上に広さと深さにおいて恵みが与えられるのです。家庭礼拝の教材には、当初は解説付きのものを使っていましたが、次第に解説の必要を感じなくなり、今は質問メインの教材にしています。教材はいくつか変遷しましたが、聖書は常に『現代訳聖書』を使ってきました。

『現代訳聖書(改訂新版)』の刊行

この『現代訳聖書(旧新約)』ですが、去る202011月、訳文を見直した新たな『改訂新版』(紙版)を刊行しました。

1983年の初版刊行以来、「読むだけで分かる聖書」として多くの人に親しまれてきましたが、言葉は二、三十年で変わるという常識から、5年ほどかけて改訂の作業に取り組み、翻訳者の尾山令仁先生による見直しに加え、現代訳聖書翻訳委員会による日本語の推敲と修正も行いました。


時代の流れと共に言葉も変化することを踏まえ、古い言い回しの修正、送り仮名の変更、漢字とひらがなの使い分け、句読点の調整、接続詞や代名詞や敬語などの調整等々、修正は約3万箇所にのぼりました。

聖書を翻訳によって分類すると、「原語に忠実」な聖書と「原文の意味に忠実」な聖書の2種類に分けられます。『新改訳聖書』、『新共同訳聖書』等が前者の“原語に忠実な聖書”であり、『現代訳聖書』が後者の“原文の意味に忠実な聖書”に該当します。

「原語に忠実」に訳した場合、2千年以上も前の原語をそのまま訳すわけですから、当時と風俗習慣が違う私たちには理解できず、良くわからない箇所が多々出てきます。ユダヤ的表現が随所に見受けられたり、昔の度量衡や貨幣が出てくる等々、理解が難しくなるポイントはいくつもあります。

英語圏では「原文の意味に忠実」に訳すという翻訳原則で訳された聖書は十数種類出ているようですが、日本語訳の聖書では極めて少ないのが現状です。

「『現代訳聖書』を読むと、意味の分かりにくい箇所がよく分かる」とのご感想をいただくことがよくありますが、それは、歴史、社会、文化の違いを考慮に入れて、「原文の意味に忠実」に訳していることによるものです。

電子書籍版の刊行

先月11月には『現代訳聖書 改訂新版 電子書籍版』を刊行しました。Amazonキンドルにてご購入後、スマホ、タブレット、パソコン等でご利用できます。電子書籍市場ではAmazonキンドルが一番のメジャーであり、今後のIT技術の進歩にも追随してくれるので安心です。

なお、旧約聖書(1250円)、新約聖書(750円)の二つに分かれています。読むだけで分かる聖書『現代訳聖書 改訂新版 電子書籍版』を、ぜひ日々のデボーションや家庭礼拝や聖書研究にお役立てください。詳しくは、こちらをご覧ください。

https://www.logos-pb.com/

私たちはこれからも「読みやすく分かりやすい聖書」を出し続けていきたいと願っています。日本人の多くは八百万の神しか知らず、99%の人々が真の神さまを知らない状態です。一人でも多くの日本人に聖書を読んでいただくために、この『現代訳聖書』が用いられることを心から願ってやみません。

 「今生まれたばかりの乳飲み子のように、純粋なみ言葉の乳を熱心に求めなさい。それによって成長し、救いが完成するのである。」(Ⅰペテロ2:2 現代訳)

 20221215日 小坂圭吾(現代訳聖書刊行会・代表)

 (追伸)

改訂新版の刊行にあたり、多くの資金が必要となり献金のお願いをしてきましたが、電子書籍の刊行も含めて必要額が満たされましたことをここにご報告し、感謝を申し上げます。主なる神様に賛美と感謝をささげます。