2017年7月14日金曜日

コーヒーブレイク「映画「十戒」を楽しむ」

スペクタクル史劇の傑作

 映画「十戒」(1956年の作品)この映画を初めて見た時、興奮しながら見た思い出があり、その後も何度か見ました。この映画は、セシル・B・デミル監督自身によってリメイクされたのですが、「ベン・ハー」と双璧を成すスペクタクル史劇の傑作です。

旧約聖書の「出エジプト記」を原作として制作され、内容は極めて旧約聖書に忠実で、映画の醍醐味を感じさせてくれる作品です。3時間40分もの長~い上映時間の途中、「10分休憩」があります。このリメイクでは舞台裏の解説があり、そのセットの凄さ、エキストラの数・・CGは勿論なく、こんな凄い映画は、今のハリウッドでは、とても作れないことでしょう。

チャールトン・ヘストンとユル・ブリンナーの二人の存在感はさすがで、女優陣も魅力的です。ユル・ブリンナーがキリリとした姿で出てきますが、かつて現役時代に勤務していた企業で、彼をある広告のモデルに起用し、当時のF社足柄工場に来てもらったのを思い出しました。当時も、頭はピカピカでしたね。

それにしても、今の映画は、観ていると疲れる事が多いのですが、昔の映画は観ていて疲れない!観客の「目」や「心」や「耳」に優しい映画なのです。

聖書の世界観 

一般の方々は、この映画を“旧約聖書の世界観を知るために見る”という方も多いと思われます。日本人が聖書を読もうとすると、日本語訳が原語に忠実な訳の為、当時の風俗、習慣など歴史や文化の違いを考慮した翻訳になっていないので、さっぱりわからない、難しいと感じられるのです。

その旧約聖書の物語を、映像でかつ分かり易い日本語でしゃべってくれるのですから、理解はとても楽です。60年前の作品とはいえ、古さを感じずに楽しむことができます。

この映画の中での語り草と言えば、“紅海がまっぷたつに割れる” 映画史上名高いシーンです。エジプト王の軍勢が、出エジプトをしたイスラエル人を追いかけ、紅海に面した断崖に、イスラエル人は追いつめられる!絶体絶命のピンチに神に祈るモーセが、海の上に手を伸ばす。 

とその時、目の前の海が“まっぷたつ”に割れ、海底の道が現れたではありませんか!イスラエル人がその乾いた所を進み、全て対岸に辿り着くと、モーセが再び手を紅海に差し伸ばす。海の水は元に戻り、エジプトの軍勢すべてを飲み込み全滅してしまいます。

この映画を見た数年後に、アメリカ・ロスアンジェルスにあるユニバーサル・スタジオに行く機会があり、たまたま「紅海まっぷたつに割れる」特撮シーンの裏技を見ることができました。映画製作の工夫に感激しました。

    聖書の奇跡

“紅海の水が二つに割れる”ことは、まさに神様のなさった奇蹟です。この事柄は、聖書信仰の立場にある者としては、聖書に書いてある通り起こったと素直に理解をしています。したがって、映画を見ましても旧約聖書の史実に忠実に描いていますので、一層楽しむことができます。

この奇蹟と科学とは、矛盾するのでしょうか?この全世界は、全能なる神(God、創造主)が創造されました。自然界は、私たちが考える以上に規則正しく、自然法則に従って動いていることを、科学は明らかしています。全能なる神は、必要であれば、その自然法則を超えて働かれる、その時に起こるのが奇跡です。科学を信じるからこそ、奇跡も信じることができるのです。

全能の創造主が、この天地を造られ、今も統治をしておられると信じ、受け入れ、“科学と奇蹟は調和する!”と理解しています。紅海の水が二つに割れる様子は、まさに圧巻であり、こうした奇蹟を自分の目で見たイスラエル人は、神さまを半信半疑に思っていたとしても、心から信じるようになったことでしょう。

しかしながら、そのイスラエル人が、しばらくすると神様に不平不満を言い、反逆するようになる。これこそが、私たちの現状の姿です。絶えず、神さまにしっかり目を向けて歩まねば、失敗をする者であることを覚えさせられます。

「モーセが海の上に手を伸ばすと、主は一晩中、強い東風を吹かせて紅海の水を流れないようにし、水を二つに分け、紅海の一部を陸地とした。イスラエル人は、紅海の中の乾いた所を進んで行った。」(出エジプト記14:21~22 現代訳)

2017年714日  小坂圭吾