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| ニューヨーク・ロックフェラーセンター |
ロックフェラーセンターのクリスマスツリー
先月11月8日、ニューヨークのロックフェラーセンターに、今年のクリスマスツリーが到着しました。高さ23メートル、重さ11トンのノルウェースプルース(トウヒの一種)で、1920年代に植えられた樹だそうです。
5万個以上のLEDライトで飾られ、点灯式は12月3日に行われ、来年1月中旬まで展示される予定です。
ロックフェラーセンターの最初のクリスマスツリーは、1931年、大恐慌の中に登場しました。
建設現場で働いていた労働者たちが、クリスマスイブに高さ約6メートルのバルサムファー(モミの一種)を立て、家族が手作りした飾りで装飾したのです。
このツリーは、大恐慌の最中に建設労働者たちが灯した希望の象徴でした。その光は、90年以上にわたりニューヨークの冬を彩り続ける伝統となっています。
巨大な記念碑
ロックフェラーセンターは、ロックフェラー父子(初代ジョン・D・ロックフェラーとその子ロックフェラー二世)が、アメリカ全土に大恐慌が広がり始めた時に、マンハッタン中心部に建設することを決断したプロジェクトです。
経済状況が最悪の中であえて工事を始め、仕事のない人々に雇用を与えるとともに、ロックフェラー家を記念する事業として計画されました。
「都市の中の都市」と呼ばれるこの施設は、大規模な複合文化空間を目指した世紀的な工事でした。
計画は1931年春に本格始動し、世界恐慌の最中、ニューヨークでは他に大規模工事がほとんどなかったため、数万人の失業者に雇用を提供しました。
4万人以上の労働者が関わったとされ、当時としては最大級の民間建設プロジェクトでした。
建設現場で働いた人々は、生活を支えてくれたロックフェラー家への感謝を込めて、クリスマスツリーの点灯式を行いました。
この行事は今も受け継がれ、1939年、約10年に及ぶ工事を経て、ロックフェラーセンターは巨大な記念碑として完成しました。
ロックフェラーが残した遺産
「世界一の大富豪」の代名詞として知られるジョン・D・ロックフェラー(1839–1937)は、貧しい家庭に生まれましたが、暗算に優れ、若くして事業の道を歩み始めました。
大学は卒業せず、実務を通して経営感覚を磨き、20歳で会社を起こし、スタンダード・オイル社を創業して、アメリカ近代資本主義を象徴する実業家となりました。
彼は節約家で計画的、勤勉で忍耐強く、目先の利益よりも長期的な成長を重視する姿勢を貫きました。
競争の激しい石油業界においても、合理化と効率化を進め、卓越した経営手腕を発揮しました。
一方で、彼は敬虔なプロテスタント(バプテスト系)の信仰者でした。日曜礼拝を欠かさず、若い頃から十分の一献金を実践し、富は神から託されたものであるという「管理者意識」を持っていました。
晩年は、財団を通して教育・医療・公衆衛生・宣教事業に莫大な資金を投じ、ロックフェラー医学研究所やロックフェラー財団をはじめ、シカゴ大学をはじめとする大学や、多くの教会建設(4928の教会)を支援しました。
彼はそのいずれにも自分の名を残すことを避け、すべては神のものであるとの姿勢を貫きました。
ロックフェラーに与えられた神様からの賜物は、「お金を稼ぐ賜物」でした。彼は幼い頃からそのことを悟り、その賜物を育て、磨いていったのだと思われます。
信仰深い母親は、彼に三つの約束を教えました。十分の一献金をささげること/教会では最前列に座って礼拝をささげること/教会に素直に従い、牧師を悲しませないことです。
彼は一生この約束を守り、祈ることを忘れない人でした。小学校に入る前から、98歳で天に召されるまで、一度も欠かすことなく、十分の一献金を神様にささげ続けました。
「十分の一のささげ物をすべて、わたしの神殿の蔵に持って来て、わたしの神殿をいっぱいにしなさい。こうしてわたしを試し、わたしがあなたがたのために天の窓を開き、あふれるほどの祝福をあなたがたに注ぐかどうかを見なさい。」(マラキの預言 3章10節 現代訳)
私がこのみ言葉について教えられたのは学生時代でした。洗礼準備会の中で、十分の一献金の大切さについて恩師が語られ、礼拝のメッセージの中でも繰り返し語られました。
特に「わたしを試してみよ」という言葉が強く心に残りました。すぐに実践しようと決心し、今日に至っています。その結果は、み言葉が約束した通りの祝福があったと、心から感謝しています。
私の周囲の多くの方々や、教会全体も、このみ言葉を実行して今日があるのではないかと感じています。
ロックフェラーセンターのクリスマスツリーは、大恐慌の時代に働く人々が灯した希望の光から始まりました。その光は今も、人々の心を照らし続けています。
救い主イエス・キリストのご降誕を覚えるこのクリスマス、神様の光と平和が、皆さま一人ひとりの上に豊かにありますように。祝福に満ちたクリスマスをお迎えください。
2025年12月16日 小坂圭吾


