「十年ひと昔」という便利な言葉がありますが、十年という年月を一区切りとして考えを思いめぐらすのに良い言葉です。最初の『人生を導く5つの目的』を刊行した2004年5月頃は、この本が今後どのようになるかを予想もすることもありませんでした。神様が後押しされるままに、原稿の練り直し、編集・校正をする一方で、PDJを設立し、出版にこぎつけたように思います。
当時、全米ではあっという間にベストセラーになり、1000万部を超えたという数字は、日本では、驚き以外の何物でもありません。「パーパス・ドリブン・ミニストリーの仕事は、いつまで続けることになるだろうか?」と発足してまもなくスタッフと話し合ったことがあります。「最低でも5年、ひと仕事やり遂げるとなれば、10年は必要だろう。とにかく継続は力、日本に土着するには、やり続けることがぜひとも必要だろう。」今日まで、この本が多くの人々に愛読されてきたことを喜び、感謝しております。
増補改訂版
今回、増補改訂版『人生を導く5つの目的~自分らしく生きるための42章』をお届けすることになりました。ほぼ2年前から、増補改訂版を出すことを企画し、新たな2章についての訳文を練り上げ、かつ最初の40章についても訳文を見直しました。
10年も経過しますと、言葉の使い方が変わったり、もっとわかりやすい表現にしたりと改善点がいろいろあり、筆を入れたものです。かつ、サイズも一回り小さくして持ち運びしやすくしました。
PDJのスタッフ及び関係する方々には、英語に強い方が多く(翻訳出版業ですから当たり前?)、私が一番英語に弱いのではないかと自覚しています。しかし、年の功も重ねた私の場合、英語力は弱くても日本語にはそれなりに強いので(?)、翻訳出版業ではお役に立っているかと思います。日本語に強いことは、翻訳された文が、読者に読みやすいかどうか、わかりやすいかがとても気になり、その観点から校正するからです。
先日、ある聖霊に関する本を読み、とても教えられました。著者の方は、世界的に著名な素晴らしい方ですが、その本の翻訳の所々が、少しばかりわかりにくく、これを直せばもっと良いのにと思わされました。これは、PDJを出版する際に、私たちが自戒している事柄です。
追加の2章
世界的なベストセラーと言われるこの本は、米国の版元によると、翻訳された言語は85か国語を超え、旧版、新版、訳本の全てを合わせると全世界で8千万部以上も読まれているとのことです。本書に対して、一部には敬遠される方もあるかと思います。その気持ちも十分に理解できます。
最近では、当初敬遠された方が本書を読む機会を得られ、信仰生活が新たにされた、やはり読む価値があったのだという感想も聞かれるようになりました。
今回、追加された2章は、神の目的に導かれる人生の妨げになる二つの罠を取り上げています。「ねたみの罠(他の人のようになりたいと思うこと)」と「八方美人の罠(他の人に喜ばれたいと思うこと)」です。私たちにとって、人との関わりの中に生きていく中で、どちらも身に覚えのある落とし穴であり、人生の妨げになる罠であろうと思います。少し気づきにくいのですが、よく考えてみますと、誰しも陥りやすいものなのです。
新たに追加されたこの2章は、最後を締めるにふさわしいテーマであり、心にズシンとくるものがありました。神の目的のために生きる私たちにとって、多くの人々を神の目的から引き離してきたこの罠に、特に留意が必要だからです。ぜひ、ご一読いただければ幸いです。
なお、未信者の方、求道中の方に贈り物として考えられる時は、本書の1-7章を特別編集した『人生の目的を探る旅』をプレゼントにされるのが最適です。聖書やキリスト教になじみのない方のために、訳文も工夫して特別編集をしたものです。(続く)
2015年12月3日 小坂圭吾