2023年10月16日月曜日

聖書の言葉「弱さを誇る」

壁画「最後の晩餐」

人の一生は重荷を負うて!

NHK大河ドラマ「どうする家康」、かなり視聴率が高いようですが、私も毎週この大河ドラマを楽しんでおります。このドラマを見始めて、色々なことを調べるにつけ、家康のすばらしさを実感できたように思います。

徳川300年が続いて、今日の日本の基礎が作り上げられたのは、家康ならではの功績です。

徳川家康の人生訓に「人の一生は、重荷を負うて遠き道をゆくがごとし」がありますが、彼が残したこの言葉は、この歳になればこそ、そうだねと感じさせられます。

大河ドラマのここまでの家康の人生も大変ですが、これから更に困難が襲ってきます。ですから、このタイトル「どうする家康」「困った家康どうする」となり、実に良く出来たタイトルです。

人生における困難、まさかの出来事が次々に起こることに対して、家康はどちらかというと弱い人だったかもしれませんが、重荷を負いながら、周りの人たちの助けを得て、忍耐して歩むのです。

私たちも同様、さあどうする?

私たちの人生はどうかといえば、同じように次々と困った事、嫌な事が起きて来るものです。仕事において、上司・同僚から下の者から、こんなひどいことを言われた。家庭の中で、子供が親の言うことを聞かずに全く違う方向に動いてしまっている。

育児において不安があり、うまく子育てができてない。勉強も思う様に進まず、やる気が出なくて大変だなー。人間関係もどうもギクシャクしてー。どうも体調がすぐれないなあ。

実に色々な困った状況が次々に起こります。“さあどうする”と神様に言われているようです。困難、大変なことが起こるのが私たちの人生です。

壁画「最後の晩餐」

世界では、二つの戦争が同時進行して、何とか停戦になるように祈るしかありませんが、第2次世界大戦の最中に、素晴らしい出来事がありました。

イタリアのミラノの教会にあるレオナルド・ダ・ヴィンチの名作「最後の晩餐」の巨大壁画ですが、主イエス様が、弟子たちに対して「あなた方のうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」と言われた瞬間を表しています。

その壁画の部屋には一枚の写真があり、一面の瓦礫の中にこの壁画だけが建っている写真~第2次世界大戦の空襲に遭い、一帯は破壊されたが、この壁画だけは無事だった証拠です。

19438月、ファシスト政権ムッソリーニに対抗したアメリカ軍が、ミラノを空爆し町全体の約半分近くの建造物が全壊しました。

この壁画のある建物への爆撃を案じた修道士たちがミラノ市民と力を合わせて「自分の家や事務所は壊れても、いつかは建て直せる。この壁画は一度壊れたら作り直すことができない。」と考えて、壁画の周りに土嚢を積み上げて保護し残ったのです。


その後、
20年余かけて修復が完了し、このような経緯から存在自体が奇跡だと言われています。

キンモクセイ

壊れたら終わりか?~弱さを誇る

目に見えるものは、やがて朽ち、壊れていくのが世の常です。故意に壊そうとしないまでも間違って壊す、スクラップ&ビルドというようなこともあります。

目に見えるものはいつか壊され、あるいは天変地異で埋もれてしまいます。考古学の発展により発掘され、壊れかけたものを修復することで、そこに新しい発見がなされることも多くあります。

最近では環境を大切にということで、壊れかけても修理して使うことが多くなり、喜ばしい限りです。

私たちの人生においては、どうでしょうか?大失敗をしたり、人間関係が壊れたり、取り返しのつかないことをしたら、「俺の人生は終わりだ。もう立ち上がれない」あるいは「あの事だけは悔やまれてならない」と思うことはあるものです。

誰しもが、多かれ少なかれ、苦く悲しい経験、つらく痛みの経験、悪習慣の経験をしていることでしょう。幸いにもそのような経験がなくても、失敗を恐れてなかなか思い切ったことができない人もいるかもしれません。

失敗の人生、壊れた人生、どん底の人生など、深い傷や痛み等々を、聖書は実に宝だと教えています。

聖書では、「弱さ」と訳されていますが、自分の弱さを知り、その弱さを素直に認める人を神さまは好んで用いられます。

全能の神さまは、その弱さを乗り越える力を与えてくださり、長所ばかりでなくその弱さを十分に用いて下さるのです。

聖書の原理の中には、この世の原理とは全く逆なことが沢山あります。これもその一つ、神が不完全な人を用いられるという事実は、何という心強い励ましでしょうか。

「『わたしはあなたと共にいる。それで十分ではないか。わたしの力は弱い人にこそ、最もよく現れるのだから。』だから今では、私は自分の弱さを喜んで誇ります。

‐‐‐なぜなら、弱いときにこそ、私は強いからです。―――無力であればあるほど、それだけ、キリストによりすがるようになるからです。」(コリント12:9~10 リビングバイブル)

2023年10月16日 小坂圭吾