小説『ベン・ハー』の著者
かつて、聖書に真っ向から反対した人の話を何度か聞いた覚えがあります。名前はすっかり忘れていましたが、彼は、本気で聖書に反対する気持ちでいろいろと調査・研究をすると、聖書の真実性を裏付ける証拠がたくさん出て来て、否定できなくなってしまいました。ついに、彼自身がクリスチャンになってしまったというお話。この話を聞いてから、聖書に反対するならば、“真っ向から中途半端でなく取り組んでほしい”と勧めることだと思わされました。
その本気で反対した人の名前は、ルー・ウォーレス(1827~1905)。彼は、弁護士、州知事、南北戦争のときの北軍将軍、アメリカ合衆国の政治家および著作家であり、歴史小説『ベン・ハー』を書いたといえば、名前を知らなくても最も良く記憶されていることでしょう。
徹底した無神論者の回心
彼は、徹底した無神論者で、聖書を読んだこともなく、キリスト教に敵対する感情を抱いていました。その彼が友人たちの前で「私はキリスト教を抹殺するために、キリストを否定する本を書くのだ。」と誓いました。
『ベン・ハー』
彼は、キリスト教を攻撃するためだけに聖書を読み始めます。聖書には、多くの間違いがあるに違いないと期待して、読み始めます。一心不乱に、疑いの思いを持ちながら読んでいくのです。数年にわたり、彼は夢中で聖書を読み、アメリカやヨーロッパの図書館を回って山のような資料を集め、研究を続けました。資料を集めて調査をすればするほど、聖書の真実性を裏付ける証拠がたくさん出てきて、否定できなくなってしまいました。
旧約聖書をすべて読み終え、間違いを発見することができないことが、やがて自分の考えに対する疑いへと変わっていきます。彼の心に、予期もしない変化が起こり始めたのです。
続いて、彼は新約聖書を開き、読み始めます。イエス様が残酷な十字架にかかられる場面で、彼はついにくずれるように倒れて、神に祈ったのです。「イエス様、あなたは間違いなく神の子、私の救い主です。あなたを信じます。」
ジェームス王欽定訳(日本聖書協会より引用) |
彼は、心から神を信じたのです。 “神を信じるクリスチャンは、くびきにかけられているのだ”と、彼は思っていたのですが、そこには、本当の自由と喜びと解放があることを知ったのです。
神の愛に感動する
神様の愛に感動し、キリストを信じる者となったルー・ウォーレス、このお話を聞くとほんとに感動しますね。聖書がいかに真実な書であるかが、彼の人生を通して、鋭く迫ってきます。これで終わりではなく、彼は、それまでキリスト教を抹殺しようと書き始めていたペンを折ります。聖書を否定する本を書くために集めた資料をもとに、今度は、イエス・キリストをあかしするために本を書く、それが、神様が新しくして下さった心によって書いた「ベン・ハー」です。
新しく造り変えられたルー・ウォーレスは、それまでの輝かしい経歴であった自分の人生(それは徹底した無神論者、神を恐れない人生であったのですが)を、主によって導かれ、神様のために働く人生へと舵を切り替えたのです。
彼が書いたイエスキリストの愛と赦しを描いた作品は、ルー・ウォーレス自身の人生を重ね合わせたものかも知れません。4回も映画にもなった不朽の名作を通して、多くの方々をイエス様のもとへと導いています。
彼が書いたイエスキリストの愛と赦しを描いた作品は、ルー・ウォーレス自身の人生を重ね合わせたものかも知れません。4回も映画にもなった不朽の名作を通して、多くの方々をイエス様のもとへと導いています。
2015年9月14日 小坂圭吾